ウンチが数日に一回しか出ない、いきんでいるのに中々排便できない。コロコロカチコチのウンチで、猫砂も付かないほど。もしかすると、うちの子便秘!?今回は便秘になる原因と対処法についてお伝えします。
〇便秘の原因は?
わたしたちヒトでは食事中の食物繊維が不足しているのが便秘の原因なんて言われますが、ねこは元々お肉から栄養を摂っているので食物繊維の不足が原因というのは考えにくいですよね。では、ねこちゃんが便秘になるのはなぜでしょうか?
・脱水になりやすい基礎疾患を持っている(甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病)
・おなかの動きが弱い
・骨盤のスキマが狭い(交通事故や外傷による骨盤骨折)
・腰が痛くて踏ん張れない(高齢の猫に多い)
・トイレの好みが合わないことやストレスによりトイレに行きづらい
など、さまざまな原因があります。
〇症状
排便時に痛みで鳴く、何度もトイレを行ったり来たりする、排便に時間がかかる場合、便秘の疑いがあります。なかには、いきみすぎて吐いてしまう子もいます。元気食欲がなくなったり、体重が落ちてしまう場合もあります。
〇検査
身体検査によってウンチのたまり具合や全身状態の確認をするほか、必要に応じて血液検査やレントゲン検査などを行います。血液検査では、高齢のねこちゃんに多い慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に出てしまう病気)など脱水を起こしやすい病気を持っていないか調べます。また、便秘によって全身状態が悪化していることもあり、身体の今の状態を把握するためにも重要な検査です。レントゲン検査では、ウンチのたまり具合や骨盤の形・狭さを調べるほか、足腰の痛みを引き起こすような骨・関節の異常がないかどうかを調べます。
〇治療
治療法には①食事療法、②薬物療法、③摘便・浣腸、④外科手術、⑤生活環境の改善の5つの選択肢があります。原因となる病気が明らかであればその治療を行いつつ、症状に応じて組み合わせて治療を実施します。
①食事療法
繊維分を多く含む食事に変更する、もしくはいつもの食事に繊維を添加することで、カチコチウンチから弾力のあるウンチに変わり、排泄しやすくなります。便秘の子で明らかな原因がない場合、よく行う治療法です。
②薬物療法
メインで処方するのは下剤で、ほかに消化管運動を促すお薬を使うこともあります。下剤にもいくつか種類がありますが、ウンチの水分量を保持してスルンと排泄しやすくするタイプのものを使うことが多いです。また、腰の痛みが原因の場合、鎮痛薬や関節炎治療薬を使うと症状改善することがあります。
③摘便・浣腸
硬いウンチが栓となり排泄が難しくなっている場合、お尻の穴から指を入れてウンチをかき出す作業(=摘便といいます)を行います。便秘が酷く摘便だけでは治りきらない場合、浣腸処置を行います。お尻から温めた生理食塩液などを注入し、排便を促します。ある程度の量排泄できれば、その後は①・②の内科療法で様子を見ます。浣腸は痛みや不快感をともなう処置になるため、場合によっては鎮静処置(注射などにより眠ったような状態にして、痛みを感じにくくすること)を行うこともあります。
④外科手術(結腸摘出術、骨盤拡張術)
①~③の治療を行っても治りが悪い場合、大腸の一部を切り取る手術(=結腸摘出術)を行うことがあります。また、交通事故やケガなどで骨盤が狭くなっている場合、骨盤のスキマを広げる手術(=骨盤拡張術)を行うことがあります。
⑤生活環境の改善
トイレの好みが合わなかったり、同居猫との折り合いが悪いなどストレスを感じていることでトイレに行くことができず、便秘になっている子もいます。トイレの好みが合わない場合は、トイレのサイズ、カバーの有無、猫砂の種類、設置場所を見直すことで症状が改善するかもしれません。同居猫がいる場合、飼育頭数+1個のトイレを設置することで、清潔に保ち、かつそれぞれが好きなところで用を足すことができます。また、高齢動物で腰の痛みがある子は、トイレの段差を超えることが難しくトイレに行くのが億劫になることもあります。トイレの場所を変えたり、段差の低いトイレに変えるなど、年相応の環境整備を行うことが必要です。
たまには、おうちのねこちゃんの排泄中の様子を観察し、スルンと排泄できているかどうか確認してください。また、ねこトイレを掃除するときには、ウンチの数・硬さをチェックしてみてください。最近ウンチの数が少ない、ウンチがカチコチコロコロしている…という場合は黄色信号です。ウンチに関して不安なことがあれば、お気軽にご相談くださいね♪