どうぶつ医療コラム

動いている寄生虫、見たことありますか!?

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昨今の犬や猫の繫殖環境や飼育環境の質の向上、飼い主様の予防対策の徹底により、寄生虫自体を見たことがない方も多いと思います。最近はSNSを通じて動画を簡単に共有できるようになりましたので、実際に動いている寄生虫をご覧いただき、日頃行っている寄生虫予防の重要性を再度確認していただければ幸いです。

動画は、当院のInstagramページにアップしていますので、そちらをご覧ください。

ちなみに今回ご紹介する寄生虫は、「糞線虫」と「東洋眼虫」です。どちらも犬にときおり見られる寄生虫です。一般的な回虫や条虫類は動いている状態を見ることが診療中少ないのですが、糞線虫と東洋眼虫は診断時にも動いていますので、今回ご紹介させていただきます。

一つ目、糞線虫(画像中央やや下の細長い虫)です。

子犬の下痢や軟便を主訴にいらした場合に見られることがあります。糞線虫の感染ルートは複雑ですが、日本で重要なのは繁殖施設で感染するルートです。糞線虫は、外界に出ることなく寄生する宿主の中で延々と自家感染を繰り返しているケースがあります。繫殖施設の母犬がこのケースに該当する場合は、出産によるストレス状態下で寄生虫体が増え、その結果、子犬にも感染します。

治療は駆虫薬を用いたシンプルなものですが、治療期間や治療反応はいろいろな報告があります。また、感染ルートの中に経皮感染(糞線虫のいる環境に足を踏み入れると感染する場合がある)があります。そのため、感染時の治療のほかに定期的に駆虫を行っていくことが重要です。

二つ目は東洋眼虫(白く細い虫)です。

目のしょぼつきや目ヤニなど、目の違和感を主訴に来院された場合に見ることがあります。また、アッカンベーした時に目と瞼の間に動いている虫を見つけていらっしゃる場合もあります。メマトイという小さいハエの仲間が媒介しますので、自然環境に恵まれた地域で寄生例が多いといわれます。長野はドンピシャですね。

治療は物理的な虫の摘出ですが、少ないうちや予防には一般的な駆虫薬が効きます。ですので、定期的な駆虫薬の使用は非常に効果的だと思います。

以上のような、あまり遭遇しない、でも感染しうる寄生虫に対しても、フィラリア症予防に代表される定期的な駆虫は非常に重要でかつ効果的だと思います。

最近は、寄生虫を見る機会が減りましたが、まだまだ臨床現場には寄生虫疾患があります。今行っている駆虫の重要性を再認識するためにも、今回の記事が参考になれば幸いです。

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