どうぶつ医療コラム

ワクチン接種の後に顔が腫れてきました。(アレルギー反応の話)

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秋の風に秋の空、すっかり秋らしくなってお外が気持ちいいですね。

そんな季節に外で安心して過ごすために、特にワンちゃんにはワクチン接種をお勧めしています。

長野市内(県内)は、川も近く、野生動物との距離も近いため、レプトスピラ症予防も可能なワクチンを接種することが多いのですが、ワクチン接種後に顔が腫れてしまうケースに時おり遭遇します。今回は、その概要をお伝えしたいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

先ずは、かわいい写真をご覧ください。

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ワクチン接種後に顔が腫れてしまったダックスさんですが、治療後に元通りになった顔を撮らせていただきました。

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こちらがワクチン接種後5時間ほどで顔が腫れてしまった時の写真です。すごくかわいいのですが、本人はそれどころではなさそうです。

こんな状態の時に写真を撮ることを承諾してくださった飼主様と、カメラ目線でこちらを向いてくれたかわいいダックスさんには感謝しています。ありがとうございました。

 

この現象は、アナフィラキシーと呼ばれ、アレルギー反応のひとつです。毒物や昆虫、食物、ワクチン、薬剤の他にも、寒暖差や運動などの環境因子といった様々な原因により引き起こされます。

動物医療現場ですと、日常的にワクチン接種が行われることが多いため、ワクチン接種後にこの現象に遭遇する機会が多いと感じています。

一般にアナフィラキシーと聞くと、突然倒れたりぐったりとしてしまう重症度の高い反応をイメージしますが、そればかりではありません。

重症度と発症時間とは相関関係があると言われており、アレルゲンに接触してから直ぐに発症するタイプが緊急的に対処が必要な重症度が高いタイプで、それに対して写真のダックスさんのように少し時間が経過してから発症するタイプは重症度は低くなる傾向があります。

対応としては、血圧やその時の状態によりますが、先ずアドレナリン注射と輸液療法の適応を検討します。続いて抗ヒスタミン薬やステロイド薬、気管支拡張薬の適応を検討します。

多くの場合、顔が腫れて来院されるケースでは、顔や体が痒くて掻いている以外は元気なことが多く、その時点での痒みとアレルギー反応の緩和を目的として、抗ヒスタミン薬とステロイド薬を適応することが多いです。

問題は、動物病院が診療してない時間帯(特に夜間)に発症する場合です。その場合、先ずは痒くて掻き壊すこともあるため、エリザベスカラーを使用するなど、皮膚の保護をしてください。多くの場合時間とともに落ち着きますが、落ち着かなければ薬物治療が必要なので、翌診療時間に受診してください。

もし、本人がぐったりとして口の中の血色が悪い(白い)場合は、緊急的に治療が必要な場合があるため、その時に対応してくれる動物病院を探してください(当院も可能な時は対応します)。こういった場合のためにも夜間救急動物病院を事前に探しておくことをお勧めします。長野県内には夜間救急病院がありませんので、隣接する他県の施設を受診することになる場合が多いので、アクセスなど事前にお調べください。

予防的にできることは、ワクチン接種を体調のいい時に行うこと、午前中に接種を受けること、ワクチン接種後にいつもに比べて激しい運動は避けること、過去にアレルギー反応が生じたことがある場合やアレルギー体質の場合には接種のメリットやデメリットを考慮して接種するか決めること、などが挙げられます。特に長野県内の診療時間外の対応環境を考えると午前中にワクチン接種を受けることは強くお勧めします。

ワクチン接種に関しては、新型コロナウイルス感染症の流行により、飼い主の皆様の理解が深まっていると感じています。そんな今時代ですので、ぜひワクチンやその他薬剤の効用と副作用に対する正しい知識を持っていただけるよう、今回の記事が参考になれば幸いです。

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