田んぼの中にいたオタマジャクシは、小さなチビガエルに姿を変え、ぴょんぴょんと元気に跳んでいます。また、田んぼの稲の背は高くなり、その中や畦道では、蛇も時おり姿を見せることがあるのは、我が家周辺のこの季節の風物詩です。
今回は、そんなカエルやヘビが関連する「マンソン裂頭条虫症」について知っておきたいことを嚙み砕いてお伝えしたいと思います。
マンソン裂頭条虫は、猫や犬のお腹の中に寄生するサナダムシです。
先日飼主様のご厚意で写真を取らせていただいたので、先ずは実物の写真をご覧ください。
お尻からこれが出てくるなんて、想像しただけでゾクッとしますね。
マンソン裂頭条虫は、終宿主である猫や犬の体内で成熟すると、虫卵が便とともに排泄されるようになります。
虫卵をそのまま食べてしまっても猫や犬に対して感染性はありませんが、虫卵をケンミジンコが摂取し、それをカエルやヘビなどが食べると、その筋肉内で終宿主への感染性をもつ幼虫に発達します。このような幼虫の発育に適したカエルやヘビなどを中間宿主と言います。
中間宿主内で感染性を持った幼虫は、カエルやヘビの筋肉内に大体いますので、終宿主の猫や犬がこれらを捕食すると感染が成立します。
こうして生活環がまわっていきます。
特に田植時期から今頃までは、道端に力尽きたカエルなどもいますので、これらを食べた場合も感染する可能性があります。基本的に中間宿主を介さないと生活環がまわりませんので、猫から猫、犬から犬、猫から犬などの直接感染は起こりませんので、安心してください。
マンソン裂頭条虫は、寄生していても深刻な症状が出ないことがほとんどですが、体重減少や慢性的な下痢の原因にもなりますので、生活環境によって定期的な便検査や駆虫が必要です。
駆虫に関しては、通常の駆虫薬の用量ではびくともしませんので、マンソン裂頭条虫用量で薬の量を計算してから、投薬が必要です。
以前からしばしば治療をさせていただくケースがありましたが、ここ最近多いなぁと感じましたので、記事を書かせていただきました。
この記事が長野での楽しいわんにゃんライフの一助になれば幸いです。