どうぶつ医療コラム

イボ・しこりを見つけたら早めに来院を

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こんにちは。獣医師の出岡です。

動物病院への来院理由として、「イボ・しこりができている」という方は少なくありません。イボ・しこりといっても、炎症性のものと腫瘍性(良性/悪性)のものに分けられます。たとえ小さなものでも、種類によっては悪性度が高く、なるべく早く外科手術を行う必要があります。イボ・しこりが出来ていることに気付いたら、なるべく早めに動物病院を受診されることをおすすめします。以下、来院された際の診察の流れを説明しています。

 

飼い主さん「イボ・しこりができています」

このような主訴でいらっしゃった際、いくつか確認したいことがあります。そのイボ・しこりは「どこに」、「いくつ」、「どれくらいの大きさで」、「いつからあるか」、「サイズはどんどん大きくなっている/変わらないか」などです。また、動物の品種や年齢、性別、避妊・去勢手術の有無など動物の情報を聞き取ります。イボ・しこりがどのような見た目・触り心地なのかもしっかり確かめたうえで、おおよその予想を付けながら詳細な検査に移ります。

 

獣医師「イボ・しこりの正体を確かめるため、針の検査(細胞診)をさせていただきます」

見た目だけで判断できるイボもありますが、中身を確認しないと何者か分からないものが多いです。そんなときには、イボ・しこりに針を刺して中の細胞を取り出して検査を行う、細胞診を行います。通常は鎮静・麻酔をかけずに簡便に行うことができます。炎症性もしくは腫瘍なのか、おおよそのアタリを付けることができます。ただし、外科切除と異なり、イボ・しこりの一部分を見ているに過ぎないため、一回の検査でうまく判断が付かないときもあります。そのようなときは、時間をおいて改めて検査を行うことで、より精度の高い結果が得られることもあります。

 

獣医師「細胞診の結果…経過観察とします/外科切除が必要です/内科治療を始めます」

細胞診あるいは身体検査の結果、治療方針をお伝えします。炎症性のしこりであれば、状態によって治療法が変わります。経過観察にすることも多い一方で、内科治療を行ってもサイズが変わらない場合は外科切除を行うこともあり、ケースバイケースです。良性の腫瘍であれば経過観察とすることがほとんどです。ただ、良性の腫瘍であってもサイズが大きくQOLを害している場合や悪性の可能性が捨てきれない場合は切除したほうが良いでしょう。一方、悪性の腫瘍であれば外科切除や抗がん剤治療をおすすめします。しかし、「高齢である」「治療に耐えられる体力が残っていない」「費用的に厳しい」という場合は、今まさに動物を苦しめている症状、例えば食欲不振、嘔吐、下痢に対する対症療法や疼痛に対する緩和療法を行います。

 

ぜひ、日々動物たちの身体を撫でて触って、いつもと変わりがないかどうかチェックしてみてください。もし、イボ・しこりが見つかったら、当院まで早めにご相談ください。

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