こんにちは。獣医師の出岡です。
飼い主様からのお電話で、「うちの子が急に吐いてしまって…すぐに病院に連れて行った方がいいですか?」と相談を受けることがよくあります。おうちの子が突然嘔吐し、その後ぐったりして元気がなくなってしまったら、飼い主様もかなり焦ってしまうと思います。そこで今回は、おうちの子が急に吐いてしまったときの対応方法についてお伝えします。
おうちの子が吐いてしまった時、以下の症状に一つでも当てはまる場合はすぐに病院に連れてきてください!
・1日に3回以上吐いている
・サイズが大きいもしくは鋭利な物を誤飲した場合
・中毒を起こす物質を誤飲した場合
・食欲が全くない/ほぼない
・ゴホゴホと湿った咳をしている
できるだけ早めに処置したい病気として、異物誤飲、吐物による誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などが挙げられます。異物誤飲の場合、異物の種類によっては催吐処置、内視鏡検査や開腹手術により異物を取りのぞく必要があります。誤嚥性肺炎が疑われる場合、症状が進行する前になるべく早く治療を進める必要があります。
食欲がなく、何度も嘔吐・吐出(※)を繰り返している場合は脱水などの異常が起こるため、注射などにより治療をさせていただく必要があります。また、症状が重篤な場合、身体検査に加えて血液検査、レントゲン検査、エコー検査などを実施し、原因となる病気を探っていきます。
※嘔吐は、胃・腸の内容物を吐き出す場合で、吐く前に「ウグッ、ウグッ」とお腹が波打つ様子が見られます。一方、吐出は食道~腸までを含む消化管の内容物を吐き出す場合で、前触れなくいきなり吐きます。
また、1~2カ月以上かつ高い頻度で吐く症状が続いている場合も、ご来院をおすすめします。具体的には、以下の症状が見られる場合です。
・週3回以上吐いている
・食欲が徐々に落ちてきた
・体重が減ってきた
・多飲多尿、下痢など嘔吐以外の症状を伴っている
慢性胃腸炎、食道炎、消化管腫瘍など消化管の病気のほか、腎臓病、糖尿病、子宮蓄膿症(未避妊雌)、肝炎、消化管以外の腫瘍など全身性の病気が考えられます。対症療法では治らない、あるいは症状がひどい場合、血液検査、レントゲン検査、エコー検査など各種検査を実施し、原因となる病気を探り、それぞれの病気に合わせた治療を行います。
✔来院の前に
病院に来院・電話相談される際には、「いつ(食前or食後orそれ以外)」「何を(液体のみ・フード・両方)」「どのように(嘔吐or吐出)」「どれくらいの回数・量」吐いたのか、他にも症状を伴っているか、症状は「いつから」続いているのかを教えてください。また、吐物や写真をお持ちいただくとより分かりやすいです。異物誤飲が疑われる場合、誤飲したもの、もしくはそれと同一のものをお持ちいただくようお願いします。
1~2回の嘔吐のみで元気食欲がある場合、来院せずに様子を見ていただくのも一つです。ただし、元気・食欲の低下が見られる、嘔吐が何度も続いている、嘔吐に加えて下痢になっている場合は、早めのご来院をおすすめします。
来院するかどうか迷われたとき、ぜひこの記事を参考にしてくださいね!