どうぶつ医療コラム

定期健診を考える

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私たちヒトは、学校保健安全法や労働安全衛生法などの法的な根拠に基づいて定期健診を受けます。定期健診は、健康状態の把握や疾病の早期発見・早期治療を目的として行われます。健診結果を基に生活習慣を見直して疾病の発生を予防したり、早期発見と早期治療により疾病の重症化を抑えたりすることができます。そのため定期健診は、医療費の抑制や労働生産性の維持、公衆衛生政策の検討などが可能な多層的な仕組みと言えます。

一方、犬猫を主とする動物医療において定期健診はどのような重要性を持つのでしょうか。

まず、医療と動物医療の大きな違いは何と言っても「動物は言葉で症状を伝えられない」ことです。症状の自己申告ができない動物は、本能的に不調を隠す習性も重なって、症状が出たときにはすでに重症化していることが少なくありません。そのため、動物の定期健診では正常であることの確認はもちろんですが、積極的に異常を探しに行く姿勢が重要です。

また、犬や猫でも品種によって正常な状態が異なることが多々ありますので、定期健診によって元気な時のその動物の正常を知っておくことが非常に重要です。若い元気なうちの情報があれば、ちょっとした不調時のわずかな変化にも気付けることが多いのではないでしょうか。

次に、動物は私たちヒトとは異なるスピードで年を重ねていくため、定期健診の頻度も考えておく必要があります。品種により異なる場合がありますが、一般的には8歳前後を境に、その手前までは年に1回から2回、その後は年に3回から4回が推奨されます。もちろん定期健診時にどのような検査を実施するかはその時の希望や必要性、予算に応じて検討するとよいでしょう。

最後に、私が定期健診で最重要と考えているのが「定期健診は動物医療スタッフと飼い主とのコミュニケーションの場である」ということです。動物たちの日常の様子を最もよく知っているのは飼い主様です。その動物を詳しく獣医学的に診ることができるのは動物医療スタッフなのですが、前述したように動物は言葉で症状を伝えられません。ちょっとした会話の中にヒントが隠れていることも多いため、獣医師や動物看護師、飼い主様の三者が気さくに動物の日常を話し合える関係性の構築が重要です。そのためにも、最初は身体検査や予防で構いませんので、定期的に動物を診せ、まずは動物を囲んで楽しく話をすることから定期健診を始めるといいのではないでしょうか。

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