どうぶつ医療コラム

実りの秋ですが…ブドウは与えないで!

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「実りの秋」スーパーや道の駅など、どこに行っても美味しい果物が味わえる♪そんな信州の秋、楽しいですよね。そんな果実の中でも、この季節に特に注意したいのが「ブドウ」です。というのもブドウによる中毒(急性腎障害)が主にワンちゃんで認められることがあるからです(ちなみに猫ちゃんやフェレットさんでも少数報告があります)。ブドウと一口に言っても、中毒を起こす可能性があるのは生のブドウはもちろんのこと、ブドウを使った加工品(レーズンなど)全般ですので、季節にかかわらず注意が必要かもしれません。

ブドウ中毒に関しては、2000年代初頭から報告されるようになりました。ブドウ中毒の原因は、タンニン(種などに含まれる苦み成分)に対する不寛容、ブドウに付着したマイコトキシンや殺虫剤の摂取などの仮説が挙げられていましたが、現在では、ブドウに対する特異体質が原因ではないかと考えられています。ですので、どんな体格であったとしても、たとえそれが少量であったとしても、発症する可能性があります。特徴的な症状は摂取から24時間以内の嘔吐で、その後に食欲不振や下痢、元気消失などが続きます。急性の腎障害が発生しているかは、発症後の血液検査でわかりますが、症状が無いからと言って腎障害が進んでいないとは言えません。治療は、症状に対する対症療法と腎障害が生じているかのモニタリングが主です。

ここまでは一般的な事をお伝えしましたが、では具体的にブドウを食べてしまった場合どうするといいのでしょうか。もちろん対応はその時の状況やその動物の状態、考え方などで様々ですが、先ずは病院に来院、相談されるのがいいと思います。食べてしまったブドウの量が多ければ、たとえ症状が無くても嘔吐させることが必要かもしれません。もちろん吐かせることに負担を感じる飼い主様も多いので、摂取したかどうかわからないあるいは少量の場合は、吸収されたものの洗い流しを目的に皮下点滴など通院で可能な治療を実施するのもいいと思います。また、少量で心配なさそうに見えても血液検査は実施してみる価値はあると思います。病院に行くのはちょっと…という場合、もちろんおすすめはできませんが、経過観察(様子見)も選択肢の一つです。その場合はいつもより一層注意してみてあげてください。

長野で臨床の現場にいると、意外とブドウ中毒のことを知らなかったり、今まで食べさせていたと伺うことが多いと感じています。もちろん、平気な子は平気かもしれませんが、リスクを減らして我が家のアイドルと安心して生活するために、ここでした「ブドウの話」、心に留めておいていただけると幸いです。

 

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