どうぶつ医療コラム

ノミやマダニに注意して楽しむ秋の行楽シーズン!

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今秋は、新型コロナウイルス感染症の流行はあるものの、個人の感染予防対策を重視することで行動の制限も少なく、信州の秋を満喫したいものです。そこで、今回ご紹介するのは、秋の屋外に潜むノミ・マダニとそれが媒介する病気である重症熱性血小板減少症候群(以下SFTS)です。

ノミ・マダニはともに吸血性の節足動物です。マダニは、その種類によって温暖な地方から寒冷地まで分布し、日陰にある草木の葉の裏などに潜んでいます。特に市街地でも緑が多く、そういったところに住んでいたり、山間部にレジャーに出かけたりする機会の多い長野地域では、地域猫やワンちゃんを主として寄生被害が多いです。一方、ノミ(主にネコノミ)は環境温度が13℃を下回ると生活環が回らなくなるため、寒い信州では増えにくいことが一因となって長野地域での寄生被害は多くありません。ただ、人の移動や動物たちの室内飼育率増加に伴って長野地域でも時々寄生例がみられるようになりました。ノミもマダニも小さく、普段過ごしていてもその寄生に気付くことが難しいです。気付いたときには既に吸血されて大きくなっていたり、皮膚炎から寄生が判明したり、と後手になってしまいます。そこで、後手にならないためにも実施しておきたいのが予防対策です。もちろんノミやマダニがいないような環境に身を置ければいいのですが、お散歩で草むらにいったり、家族や友人と一緒にキャンプやレジャーに出かけたりと、楽しみも多いはず。安心してそういったシーンを楽しむために、そしてノミ・マダニの吸血そのものの被害や媒介する病気の予防のために、ぜひいつもの動物病院へご相談いただき、予防対策することをおすすめします。

吸血されたって、たいしたことではないでしょう…とお考えになった方、そこでノミやマダニが媒介する病気で最近注目の「SFTS」について概要を伝えさせてください。SFTSはマダニが媒介するウイルス性の人と動物の共通感染症です。発生は主に西日本ですが、ウイルスを保有するマダニや動物は東北地方でも認められており、拡大しています。感染経路は主にウイルス保有マダニの吸血からですが、動物(犬や猫)から動物、動物から人、人から人へも感染する可能性があります。症状は多岐にわたりますが、人では発熱や頭痛、全身倦怠感など、動物では食欲不振や活動性低下と発熱、黄疸などが認められます。特筆すべきは、その致死率です。新型コロナウイルス感染症の第6波における高齢者の致死率が3~6%とされているのに対し、SFTSの致死率は人で20~30%、猫で60%(犬では報告数が少ない)とされており、発症すると非常に怖い病気であることがわかります。人が直接感染するよりも、野生動物やそれに近い環境にいる地域猫、さらにはそこに近づくワンちゃんの感染リスクが高いと考えられますので、こういった点でも動物たちの予防対策は必要性が高いのです。

人と動物が安心して共生できる環境作りのためにぜひ予防対策を!

 

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